飲食店のメニュー設計 原価率30%を守らない人が潰れる理由
FLコスト60%の壁・看板商品の決め方・価格帯の作り方1,000店舗超のオーナーを見てきたプロが教える、利益が残るメニュー設計の具体手順
「原価率35%で何が悪いんですか美味しいもの出してるんだから」
潰れる飲食店オーナーが口を揃えて言うセリフ美味しければ儲かると思っている人が一番最初に消える
私は店舗物件の仲介を1,000件以上やってきた末端1,000店舗超のオーナーを見てきた結論原価率30%ラインを守れない店は99%潰れる美味しさは言い訳にならない
月商300万円の飲食店で原価率35%がどれだけ致命傷か
倶楽部会員さんの実際の成果
倶楽部のチャットを覗きながら交渉したらうまくいきました。聞いたりしたわけでもないのに結果が出た(会員報告より)
複数社申込みの中でフリーレント1ヶ月半取れた(会員報告より)
わずかな金額でも積み重ねると固定費が大きく変わると実感した(会員報告より)
数字で示す月商300万円・客単価3,000円・月間客数1,000人の一般的な飲食店原価率30%と35%の差が手元にどれだけ残るか
| 項目 | 原価率30%(健全) | 原価率35%(危険) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 月商 | 300万円 | 300万円 | — |
| 原価(F) | 90万円 | 105万円 | +15万円 |
| 人件費(L) | 90万円 | 90万円 | — |
| 家賃 | 30万円 | 30万円 | — |
| 水光熱費・消耗品 | 30万円 | 30万円 | — |
| 販促・雑費 | 20万円 | 20万円 | — |
| 営業利益 | 40万円 | 25万円 | -15万円 |
原価率がたった5%ズレるだけで営業利益は40万円から25万円へ37.5%減する月15万円・年間180万円の差これが3年続けば540万円消える
原価率35%で回している店が雨の日や冬の閑散期に売上30万円落ちたらどうなるか一瞬で赤字転落する原価率30%ラインは経営の安全マージンそのもの
FLコスト60%の壁 — 超えた瞬間に利益は消える
飲食店経営の絶対ルールFLコスト60%Food(原価)+ Labor(人件費)の合計が売上の60%を超えたら利益は残らない
FLコストの内訳基準
- F(原価率): 28〜30%が上限ライン 業態により28〜32%の幅
- L(人件費率): 28〜30%が上限ライン 社保・まかない込みで計算
- FL合計: 58〜60%に抑える これを超えると残らない
- 家賃: 月商の10%以下に抑える 家賃30万円の店は月商300万円が最低ライン
- 水光熱費・消耗品: 8〜10%
- その他経費: 6〜8%
- 営業利益目標: 12〜15%
業態別FLコスト目安
| 業態 | F目安 | L目安 | FL合計 |
|---|---|---|---|
| 居酒屋 | 28〜32% | 25〜28% | 55〜60% |
| 焼肉店 | 35〜40% | 20〜25% | 55〜65% |
| ラーメン店 | 30〜35% | 25〜30% | 55〜65% |
| カフェ | 25〜30% | 30〜35% | 55〜65% |
| バー | 20〜25% | 25〜30% | 45〜55% |
| 寿司屋 | 40〜50% | 20〜25% | 60〜75% |
寿司屋のように原価率が高い業態は人件費を極限まで絞るかカウンターメインで回転を上げるしか利益を作れない業態によって勝ち筋が違う
看板商品1品で利益を作る設計 — 寿司屋のイクラ丼方式
ある寿司屋は客単価の平均を「イクラ丼3,800円」1品で作っていた店内メニューは20品以上あるがイクラ丼を注文するお客さんが全体の6割以上
このイクラ丼の原価率は48%と高いしかしここに一緒に頼まれるお椀・茶碗蒸し・ドリンクで全体の原価率を30%ラインに戻している
看板商品設計の3ステップ
ステップ1: 看板商品1品を決める
SNSで写真になる・名物として口コミで広がる・単価が取れるの3条件を満たす1品を決める絶対に2品以上作らない看板は1品じゃないと覚えてもらえない
ステップ2: 看板商品は原価率を上げてでも圧倒的な価値を出す
原価率40〜50%でもいい「このボリュームでこの値段?」と思わせるレベルに仕上げる看板商品で薄利でも構わない客を呼ぶ広告費だと考える
ステップ3: 看板商品と一緒に頼まれるサイド・ドリンクで原価率を下げる
お椀・小鉢・サラダ・ドリンクこれらの原価率は15〜25%に抑える看板商品1品 + サイド2品 + ドリンク1品のセットで全体の原価率を30%に収束させるこの設計ができる人が利益を残せる
松竹梅価格帯 — 8:1:1ではなく6:3:1で作る
価格帯を3段階で作るのは飲食店の常識しかし8:1:1(上中下)ではダメ正しい比率は6:3:1
| 価格帯 | 間違った比率 | 正しい比率 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 松(高価格) | 1 | 1 | アンカー(価格基準)を作る |
| 竹(中価格) | 1 | 6 | 主力商品 ここで最大利益を取る |
| 梅(低価格) | 8 | 3 | 入口商品 リピート導線 |
多くの個人店は低価格の品数を増やしすぎる「お客さんが喜ぶから」という優しさが仇になる低価格を増やすと客単価が下がり粗利が消える
逆に中価格帯の「竹」を6割の品数にするとお客さんの視線が自然と竹に集まる人間の心理として3択の真ん中を選びやすい竹を主力にするメニュー設計がもっとも利益が残る
ドリンク比率で粗利を取る — 飲食店の隠れた主役
フード原価率30%に対してドリンク原価率は10〜20%ドリンクを売れば売るほど粗利が残る飲食店経営の最大の武器はドリンク
ドリンク原価率の相場
- 生ビール: 原価率30〜35%(中ジョッキ600円で原価200円前後)
- ハイボール: 原価率10〜15%(ジムビーム1本1,800円で30杯以上取れる)
- サワー類: 原価率10〜15%
- 日本酒・焼酎: 原価率15〜25%
- ソフトドリンク: 原価率10〜15%
- カクテル: 原価率15〜20%
ドリンク比率の目標
居酒屋・バーは売上の40〜50%をドリンクで作るのが理想カフェ・ラーメン店でも20〜30%はドリンクで取りたいドリンク比率が低い店は全体の粗利が薄くなる
ドリンク比率を上げる具体策
- フリードリンクではなく単品で売る — 飲み放題は粗利を削る
- グラスを小さくして回転を上げる — 大ジョッキ1杯より中ジョッキ2杯のほうが粗利が残る
- 料理との組み合わせをメニューで提示する — 「この料理にはこのドリンク」を明記する
- 2杯目を頼みやすい設計にする — 追加注文ボタン・おかわり半額タイム
原価計算エクセルの作り方 — 5分で作れる利益管理シート
メニュー設計の最後の関門は原価計算のエクセルこれを作らない店は原価率が把握できていない
必要な項目
- 料理名
- 販売価格(税抜)
- 主材料費(肉・魚・野菜など 分量×単価)
- 副材料費(調味料・油・付け合わせ)
- 原価合計(主材料+副材料)
- 原価率(原価合計÷販売価格)
- 粗利額(販売価格-原価合計)
- 月間販売数(予測)
- 月間粗利(粗利額×販売数)
判定ルール
このシートを作ったら各メニューの原価率に色を塗る
- 25%以下: 緑(優良商品 積極的に推す)
- 26〜32%: 黄(標準 継続)
- 33〜40%: オレンジ(要注意 価格改定か原価見直し)
- 41%以上: 赤(撤退候補 サイド商品で原価を回収できているかチェック)
この色分けをするだけでどの商品で利益が出ていてどの商品が足を引っ張っているかが一目で分かるメニュー改定のたびにこのシートを更新する
メニュー設計のよくある失敗パターン
- 品数が多すぎる — 100品のメニューは原価管理が不可能30〜50品に絞る
- 看板商品がない — 全メニューが同じ扱いだと覚えてもらえない1品に集中する
- 原価率を見ずに「美味しさ」で決める — 原価40%の商品が売れれば売れるほど赤字が膨らむ
- 松竹梅の比率が間違っている — 低価格品を増やすと客単価が下がる中価格帯を主力に
- ドリンク戦略がない — フードだけで粗利を作ろうとすると無理ゲーになる
- 原価計算エクセルがない — 感覚で値付けしている店は必ず潰れる
- 季節変動を考えていない — 仕入れ単価は月ごとに変動する 四半期に1回は原価見直し
よくある質問
Q. 原価率35%でも客が入っているからいいのでは?
客が入っていても利益が残らない月商300万の店で営業利益が25万円残る店と40万円残る店どちらが10年続くかは明らか客数より粗利を見る
Q. 高級店で原価率50%の店がありますが?
高級店は客単価と回転数で粗利額を作るモデル原価率50%でも客単価2万円・1日30組なら月間粗利は900万円一般的な大衆飲食店が真似できるモデルではない自分の業態と客単価で計算する
Q. 看板商品を1品に絞ると飽きられませんか?
飽きられません看板商品があるから店名で思い出してもらえる「あの店のイクラ丼」「あの店の餃子」と記憶に残るサブメニューを定期的に入れ替えればリピートも作れる看板商品は店のブランドそのもの
Q. ドリンク比率を上げる具体策は?
料理メニューに「このドリンクと一緒に」のレコメンドを入れる生ビールの小グラスを作って2杯目を頼みやすくする注文ごとにおかわりを聞く仕組みを作るドリンク比率が5%上がるだけで月商300万の店は15万円の粗利追加
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